2015 - Jeremy Steig Official Site ジェレミー スタイグオフィシャルサイト

Blog(-2016)

2015

2015年12月

先週、妻と私は、NHK衛星チャンネルで放映されたドキュメンタリー映画にすっかり引き込まれていた。その映画は、2014年作のSilenced(強制された沈黙)で、米国が内部告発者に何をしているかがテーマだ。映画には、とても知的で愛国心の強い3人のアメリカ人が出てくる。彼らはそれぞれCIA、NSA,米国法務省の職員だったが、一人は、米軍が水責めの拷問を行っていることを知り、それを告発した。もう一人は、NSAがアメリカ市民を対象にした監視活動について、告発を行った。

映画の途中、夜9時35分頃、電話が鳴ったので、妻が立って受話器を取ると、読売新聞の世論調査の電話だった。機械ではなく、生きた女性の調査員だった。調査は基本的に安倍首相のさまざまな政策に関するものだった。調査員の仕事は、複数の選択肢を伴う質問をすることだった。例えば、消費税軽減税率について、1)生鮮食品のみを対象とするべきか;2)生鮮食品と加工食品の両方を対象とするべきか、という質問があった。妻が「そもそも食べ物に課税してもらいたい人っているの?」と訊いたところ、女性調査員は、「どちらかというと2番ですね?」と言うので、妻は「そうですかね?」と答えた。すると調査員は「答えは2番とさせて頂きます」と言ったそうである。

この世論調査の結果は12月6日に印刷された。2番と答えた人は61%で、1番と答えた21%を大きく上回ったそうだ。その他、食品以外にも軽減税率を適用するべきと答えた人が55%で、適用すべきでないが33%。軽減税率導入に賛成が58%、反対が31%だったと書いてあるが、妻はこれらの2つの質問はされなかったそうである。

妻がめでたくも「無作為に選ばれた回答者」となったのは、今回が初めてだった。このような調査のやり方が100%公正でないことは、それまでにもテレビで世論調査の結果を見てわかっていたものの、今回の妻の経験は、こうした世論調査が誤解を招きやすいものであることの証明となった。

テレビに戻ってドキュメンタリー映画の続きを観てみたら、アメリカの主要メディアは、その3人の内部告発者たちをさんざん非難攻撃し、まるで犯罪者に仕立ててしまった。ひとりは投獄された。

過去5年の間に、世界各地から約10名の人が、私が何十年も前に一緒に音楽をやっていた、今は故人であるミュージシャンについて質問をしたい、と言ってメールを送って来た。彼らのほとんどが、ミュージシャンについて伝記を書いていると言った 。調べてみると、大学の先生や雑誌の編集者をやっている人もいるのだが、彼らは、リサーチ能力が非常に乏しいか、iphoneから私に質問メールを送るのに忙し過ぎて送信する前に私のウェブサイトを見る暇もないか、どちらかのようだ。メールを送って来たうちの一人は、私が彼の質問に答えた後で、「あなたの演奏楽器は何ですか?ギター?」と尋ねてきた。私は彼に私のウェブサイトのリンクを返信し、ご自分の目で確かめるよう親切に促した。

自称「物書き」の彼らは、入手したおそらく信憑性のないオンライン情報について何らかの確証を得るために私に連絡を取ってきたわけだが、自分の身元も詳しく明かさず、質問を私にしている理由も説明しない。本が出版された暁には一冊送ってくれるのかも言わないし、私にとっては藪から棒でしかない質問に時間を割いて答えてやっても金を払う気はさらさらない。彼らの書いた本をお金を払って買う人たちは、全く気の毒だ。どうせ、ろくな本にはならないだろう。

私たちは、見かけは真実、という不正確な情報に注意しなければならない。世界にはそれが溢れている。

2015年11月

2011年のブログで、1992年のコメディ『ホワイトハウス狂騒曲』について触れた。主演のエディー・マーフィーが、アメリカ大統領に立候補した男を演じている。彼は「CHANGE(変える)」ことを有権者に約束するのだが、何を変えるのか全く言及しない。皆さんご存知のように、何年もあとになってオバマが同じジョークを使って大統領に当選した。彼も「何を」変えるのか全く話さなかった。つい先日、『マチェーテ・キルズ』をテレビで見た。この中で、チャーリー・シーン扮する大統領は、不法入国者をシャットアウトするためにメキシコ国境に巨大な壁を建設する、という政策を唱えて当選した。ん?どっかで聞いたような?もしかして、米国大統領候補者たちは、想像力に欠けるあまり、娯楽映画からアイデアを得ているのだろうか?どうも、そのようだ。

12月28日、ボディ&ソウルで演奏します。皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。

2015年10月

日本での生活を楽しんでいて、文句を言いたいこともほとんどないのだが、自転車に乗っている人がベルを使わないのは困りものだ。日本では自転車が歩道を走っているのが普通で、私も歩いているとき背後から自転車が来ていることに気づかない。みなさん、ちゃんとベルを鳴らしましょう!

2015年9月

9月はすっきり新しいデザインのサイトと最新デジタル絵本 “Our Wonderful World”のお知らせです。

皆様へ:“Our Wonderful World” は、2024年リニューアル時点で閲覧の準備ができておりません。後日改めてお知らせします

2015年8月

最新の日本ジャズ旅のビデオを2本アップロードしました。5月に岡山と四国は高松へ旅行したときの風景と音楽をおたのしみください。

(皆様へ:ジャズ旅のビデオは、2024年リニューアル時点で終了しました。今後ご覧いただく機会がありましたら本サイトでお知らせします)

2015年7月

来る8月19日、東京南青山のボディ&ソウルで、片倉 真由子トリオと演奏します。メンバー同士の交流が深まるにつれて、このグループは、ますますエキサイティングになって来ているよ。今回は、フルート3種とピッコロを吹く予定。たくさんの皆さんのご来場を待っています。
英語で “You are what you eat.” と言うが、食事によってその人が決まる。来月どんな演奏をするのか…と思っている皆さんのために、最近の我が家の夕食のメニューをご紹介します。もちろん、私が作ったのではありません!

皆様へ:当時南青山にあったボディ&ソウルでのライヴのレポート[クラブによるテキストおよび写真]は、本サイトScrap BookのJapanのページの右上にあるLive in Tokyo のリンクから御覧いただけます

2015年6月

東京のライヴで素晴らしいのは、お客さんがCDやLPを持って来て、サインを頼まれることだ。忘れかけていた古いアルバムもある。日本は、CD売り上げ(80%)がストリーミング(20%)より多い唯一の国だ。でも、それももうじき変わるかも。
インターナショナル・ニューヨーク・タイムズ』紙の見出しに、「CD支配の日本市場を押し開けるか、音楽サービス」とある。ライン・ミュージックという新しいサービスが始まったそうだ。毎月約500円で150万トラックが聴ける。このリストは来年までに3000万曲に増えるそうだ。ワクワクするかい?私は全然。だって、私の「お気に入りの曲」は150万もないことはわかっているし、それだけの曲数は一生かかっても聴けないことも明らかだ。おまけに、こういう配信サービスは、音の質が悪いしね。そして最も重要なのは、作曲家や演奏家への支払いはゼロってことだ。
私は、16歳のときミュージシャンの組合に加入した。それ以来、自分は音楽ビジネスの一員だと考えている。つまり、音楽ビジネスというのは、ミュージシャンが音楽を書いたり演奏したりして生計を立てる、そういうものだ。今日、音楽は何十億ドルというカネを生んでいるが、生計を立てているミュージシャンはほとんどいない。新聞を読めばわかるが、音楽ビジネスの「ビジネス」という言葉が、「産業」に換わっている。最近私が読んだ音楽産業関連のほとんどの新聞記事の内容のは、音楽そのものについてではなく、音楽のデジタル配信についてだった。
ジャズのお話をしよう。ジャズマンがレコードを録音した。出来上がって、「お金はいつもらえますか」と言うと、奴らはこう言った。「支払いなんてないよ。でも、そのレコードを持って出かけてライヴができる」。ジャズマンはライヴをやって、演奏が終わると、「ギャラはいつもらえますか」と尋ねた。奴らはこう言った。「ギャラなんてないよ。でも、これからレコードがもっと売れる」。「それじゃ食べていけません」とジャズマンが言うと、奴らはこう言った。「どこか行って教えな」
私が初めてジャズ教育者たちの国際団体の存在を知ったのは15年前くらいの話だが、そのとき既に7500名くらいのジャズの先生がいた。
新しいデジタル絵本づくりを進めている。『トリロジー』というタイトルで、実は、前に出した『ジャミー』の続編だ。ジャミーも大人になり、世の中のいろんな問題に対処しなくてはならない。ユーモアのセンスのある人なら、とても面白いと感じてくれるだろう。お楽しみに…

2015年5月

来月24日、東京のボディ・アンド・ソウルで、片倉真由子トリオを演奏します。今回は、Fバスフルートも吹くよ。この楽器を皆さんの前で演奏するのは初めてだ。何と言っても楽器が大きくて運ぶのに一苦労。でも今回は、楽器製造者である古田土氏が特別にスタンドを作ってくださり、クラブで演奏できることになった。ありがとう、古田土さん!

皆様へ:当時南青山にあったボディ&ソウルでのライヴのレポート[クラブによるテキストおよび写真]は、本サイトScrap BookのJapanのページの右上にあるLive in Tokyo のリンクから御覧いただけます

今月は、家族と岡山県と香川県高松へ旅行した。すばらしい日本庭園をいくつか拝見。ただ、最初の日の晩の夕食はついてなかった。フランス料理店ということだったが、日本のフランス料理の水準には達していなかった。しかし、ホテルのスタッフに尋ねると、美味しいイタリア料理店を教えてくれた。そこでは、地元の有機野菜を使った料理が出てきた。何か特別に食べたいものは、と質問された。私は、過去20年間、イタリア料理店へ行くと、サバイヨンをデザートに注文するのだが、誰も作ってくれない。私が若い頃、グリニッジ・ヴィレッジのMinetta’sという店でいつも食べていたのだが、近年滅多にお目にかからない。おそらく泡立て器を使ってマニュアルで泡立てなくてはいけないのと、作ったらすぐに出さなくてはならないから、という理由だろう。ところが驚いたことに、この倉敷の店の日本人シェフは、私の願いを叶えてくれた。彼は、サバイヨン発祥の地であるピエモンテで修行したのだそうだ。というわけで、私は二夜連続で、サバイヨンを味わった。写真を撮ったのでどうぞ!
デジタル絵本新作については、来月書くよ!

2015年4月

先月下旬、うつ病の飛行機副操縦士が、仏アルプスに飛行機を墜落させ、乗客乗員全員を殺してしまった。妻と私は、今、社会に広がるうつ病をテーマにした新しいデジタル絵本を作っているのだが、あの副操縦士はそうとは知らず。完成した絵本を彼が観てくれたら、ユーモアのセンスを取り戻し、飛行機の操縦の代わりにスケボでも始めただろう。
ひとつ確かなのは、うつ病の薬を飲むとうつが余計に悪くなることがあり、飲んでいる期間中に自殺する人も多いことだ。あの副操縦士は、どうやら墜落の悪夢に悩まされていたようだ。彼の精神科医は、薬の服用を勧め、催眠術でも使って夢に出てくる落下中の飛行機の操縦席で「普通に呼吸する」方法を教えたのだろうか、などと考える。
どちらにしろ新しいデジタル絵本をワクワクしながら使っている。これまでの7作品は、「幅広い年齢層の子供」向けだったけれど、今回の作品は大人用だ。
妻と私は夕食後に新聞を読み合うのだが、ご承知のとおり、ほとんどの記事は憂鬱な内容だ。特に暗いニュースばかり目立ったある晩、アサコが、まるで『マッチ売りの少女』みたいに、「うつ病、いりませんか~」と歌い始めた。私はそれを拝借して曲を作り、そこから新しいデジタル絵本のアイデアが生まれた。
来月は、第2幕について書こう。

2015年3月

フルートをやっているたくさんの日本の方々が東京のクラブにライヴを聴きに来てくれる。そして、レッスンを受けられるか、と私に訊ねる。答えは「ノー」だ。私にわかるのは、私の吹き方だけ。もし私が教室をやるとしたら、最初のレッスンで「コピーするのはやめなさい」と言うだろう。私が教えられるのは、私のやっていることのみで、それは彼らが一番必要としないことだから。
例えば、あなたがバードやコルトレーンの大ファンなら、彼らのマネなど絶対にしないだろう。クラシック音楽を通して自分の楽器を学び、ジャズを吹くときは、自分自身であれ!
先日、アルバート・アインシュタインが、ある有望な数学者に大学院に行くのはやめなさい、行くとダメにされてしまう」と言ったという話を読んだ。良い先生を見つけることができたら、その先生の下で自分の楽器を学びなさい。
でも、ジャズを吹く勉強は自分でしなさい。自分自身に目を向けよ。すべてが気に入るとは限らないけれど、優れたジャズはそこに潜んでいる。

2015年2月

2月は豆まきからスタート。お面を被ってやりました。
13日のライヴでは、お客様にちょっとプレゼントを差し上げたり、チョコレートを頂いたりしました!

皆様へ:当時南青山にあったボディ&ソウルでのライヴのレポート[クラブによるテキストおよび写真]は、本サイトScrap BookのJapanのページの右上にあるLive in Tokyo のリンクから御覧いただけます

2015年1月

1月も終わり。いつも読んでくれている約5名の読者の皆さんに、遅くなってしまったこと、お詫びします。

今年最初のライヴは2月13日金曜日、東京のボディ&ソウルで。

山本剛氏、香川裕史氏、村上寛氏とやります。では、クラブで会いましょう。