毎月ブログ(2013年)

2013年12月

めったに映画館へ出かけない。シネマコンプレックス型の映画館のほとんどが拷問部屋だから-過大音響、過剰エアコン、予告編も多すぎる。最近の映画もあまり面白いのがない。大人用のオコチャマ映画が多い。だから映画はテレビで観るのだが、ときどき面白い作品にめぐり会う。今年、テレビ画面で楽しんだ映画の中から、印象に残った作品のリストを作ってみた。
『デビルズダブル-ある影武者の物語-』 リー・タマホリ監督 (2011)
『アンサンディ』 デニス・ヴィルヌーヴ監督 (2011)
『アーネスト式プロポーズ』 オリヴァー・パーカー監督 (2002)
『シャイン』 スコット・ヒックス監督 (1996)
『英国王のスピーチ』 トム・フーパー監督 (2010)
『トゥー・ブラザーズ』 ジャン-ジャック・アノー監督 (2004)
『リトル・ロマンス』 ジョージ・ロイ・ヒル監督 (1979)
『アメリカの友人』 ヴィム・ヴェンダース監督 (1977)

2013年11月

日本に来て3年半以上になるが、今でもアメリカのニュースをチェックしている。最新のニュースは、新しいヘルスケアだ。アメリカの健康保険制度は、おそらく、世界の先進国の中で最悪だろう。アメリカに住んでいたころは、企業に属さない個人が加入できる医療保険制度であるHMOに加入していたが、その年間保険料は平均1万2000ドル(約120万円)だった。オバマのヘルスケアは、明らかにそれよりも悪いらしい。一体何のための新制度導入だったのだろう?
最近、左手に筋の痛み、背中の凝り、などがあった。今、角を曲がったところにあるリハビリ・クリニックへ通っているが、予約はいらないのでいつでも好きなときに行ける。リハビリは30分で、待ち時間は約5分だ。窓口で支払う金額は、100円か150円。おまけに、看護婦さんたちと日本語会話の練習ができる。<br>
私は事故で左耳が聞こえないが、2ヶ月に一度の診察と耳の掃除が必要だ。ニューヨークでは、予約を入れても待ち時間は少なくとも1時間で、メディケア(アメリカ版高齢者および障害者のための公的保険制度)に入っていても、診察と処置料350ドル(約3万5000円)を払っていた。日本ではそれが200円である。診察が100円。点耳薬が必要な場合は、薬代が100円。ニューヨークでは、同じような薬が一瓶100ドルした。
加入手続きと言えば、地元の区役所で住民として登録するだけだった。毎年支払う健康保険料の金額は言うまい。アメリカでこれを読んでいるあなたは、きっと泣いてしまうだろう。
ところで、私は共和党支持者ではない。思うにアメリカの政党は一つしかない。「金持ち政治家党」だ。

2013年10月

米国政府のシャットダウンを見ていたら、私の活動までシャットダウンしてしまった。米国議会の議員たちは、おそらく株で大儲けし、ポケットに現金を詰め込んで仕事に戻ったのだろう。
シャットダウンしてもしなくても、人間は食べなければならない。
私が家族と食べる夕食を撮影してみた。どうぞ召し上がれ!

2013年9月

デジタル絵本の次作のストーリーボードを完成させた数日後のこと。妻と私が公園の脇を歩いていると、熱い歩道を鮮やかな緑色のイモムシが、一番近くの木へ急いでいた。でも、たどり着く可能性は低かった。私たちがイモムシをみつめていると、自転車に乗った女性が寄ってきて、今度は三人でみつめた。その女性は手袋をした手でやさしくイモムシをつまみ上げると、公園のアジサイの葉の上にのせた。私たち全員拍手した。
ところで、次作は少年と毛虫の話だ。毛虫を調べるために買った本によると、その緑色のイモムシは、アオスジアゲハの幼虫と判った。ウチのアボカドの木に卵を産みに来るあの蝶だ。<br>
世界の他の場所では、例えば米国は、「やめなさいよ」とメッセージを送るためにシリアを爆撃しようとしており、一方ここ日本では、7年後にオリンピックを開催することのほうが、福島の原発問題処理より大切なのである。しかし、私たちのイモムシは、葉っぱに到着することができた。
6作品の割引セット販売は9月23日まで。このチャンスに是非どうぞ!

2013年8月

私の親戚や家族は、みな絵描きで、互いに競争していたので、私はミュージシャンになった。父のように子供向きのお話を書くなんて考えてもみなかった。しかし、ニューヨークに住んでいた頃、妻の友人の直子さんがとても上手な馬の絵を描いた絵はがきを送ってくれ、それを見て『ディジーとルイジ』のアイデアが湧いた。私が生まれた1942年は午年だ。
日本で出版社が見つかり、直子さんがイラストを担当した本になった。私は音楽CDを付けたかったけれど、実現しなかった。
あれから、妻と私はデジタル絵本を5作品つくった。絵と音楽は私が担当している。私は、前から『ディジーとルイジ』もデジタル絵本にしたいと思っていた。昨年、私たちに権利が戻ったので、今回も直子さんのイラストで、私たちの最初のイメージ通りにやり直した。とても良い出来だと満足している。
直子さんも私も誕生日が9月なので、8月15日から、私の誕生日9月23日まで、最新作『ディジーとルイジ』を含めた全6作品を、割引セット価格で販売することに決めた。

2013年7月

今月は最近のドローイングを数点と、日本ジャズ旅の新しいビデオをアップロードしました。どうぞお楽しみください。

2013年6月

先日、英国風庭園と温泉を楽しみに蓼科へ行った。短い旅行だったが、帰る前にロープウェーに乗り、北八ヶ岳を見た。そこには、火山の溶岩上に自然形成されたコニファーや高山植物の庭園がある。英国風ガーデンも自然に生えた植物には負けるが、どの場所にもそれなりの魅力があった。
まだ夏の観光シーズン前で、ホテルのスイートが格安で泊まれた。部屋には巨大なテレビがあった。
7月までには、長野の素晴らしい景色の写真に音楽をつけるつもりだ。乞うご期待。
初めての盆栽も手に入れた。唐かりんだ。ジェレミー・ジュニアと名付けた。ジュニアのために一曲書いてやった。昨年、上野動物園でパンダを見たとき、偶然公園で盆栽の展示をやっていたのだ。それ以来、一つ欲しいと思っていた。

2013年5月

先月、地元横浜の原鉄道模型博物館(www.hara-mrm.com)へ行った。本当はベイエリアのサーカスに行くつもりだったのだが、あまりにも行列が長いのでやめた。結局、模型博物館へ行ったのは正解だった。
原信太郎は、小学生のとき初めて鉄道模型を作って以来、ずっと作り続けている。完ぺきな模型が何百点も展示されていた。みな彼の手作りである。彼は今、93歳だ。
山や川、街も駅もある巨大なセットがあった。本当にリアルでクロースアップの写真を見ると、本物のようだった。セットのサイズはバスケットボールのコートくらいで、合計450メートルの線路が作られていた。
この博物館の中を歩いていると、子供の頃の記憶が蘇った。私の最初の趣味は、HOゲージの模型だった。フルートに興味を持ったのはその後だった。私がフルートを習い始めて間もなく、先生のペイジ・ブルックは、私の模型セットを買い取り、彼の息子にあげた。

2013年4月

近所に黒くて大きい野良猫が住んでいる。このネコは、数軒先の家のまわりを住み処にしていたのだが、半年ばかり前、その家の住人が引っ越した。その家はしばらく空き家で、そのネコがすみついたようなのだが、約2週間前、その家が取り壊された。その後、地面に長い鉄のパイプが何本か埋め込まれた。ネコは私の裏庭のすぐ外にある駐輪スペースの自転車の上で一日の大半を過ごすようになった。
さて、1週間ばかり前、その土地に新しい家の建設が始まった。ネコは騒音に耐えられず、ウチの庭に引っ越して来た。庭を囲む鉄のフェンスの上を行ったり来たり。ときどきブルーベリーの木の横にある平たく丸い敷石の上に座ったり。庭の隅には、妻が砂利を敷いた涼しい日陰もある。以前は私たちを見ると走ってにげていたのだが、最近はガラス戸のすぐ外からこっちを見つめている。
このネコは、一度、私たちに死んだネズミを献上してくれたことがある。野良猫がいるとネズミの数が減るという利点もある。
今年の春は、年に一度のサクラの花見の期間に横浜を訪れる観光客を狙って店をだす屋台にとってはさんざんだった。木々は、三月中旬の暖かさで早すぎる花を咲かし、その後に続いた寒気と強風によって、花が川へ散ってしまった。店の前を歩くのは、私のような地元の人が少しだけ。地元民は家でゴハンを食べてから花見に出かける。 
しかし、人々がサクラに特別な愛着を感じているここ日本では、川面を埋める花びらを指す言葉さえあるのだ。それは「花筏」。
私のとった写真をご覧になれば、海外の皆さんも、その言葉の意味がおわかり頂けるだろう。

2013年3月

定期的にブログを読んでくださる平均5名の皆さんに、3月のブログが遅れたことをお詫びします。新しいデジタル絵本『ディジーとルイジ』の作曲に忙しかったので。
東京に数日滞在し、ホテル代を支払いに行くと、フロント嬢が、鼻をひどくシュンシュンさせていた。私がクリネックスを差し出すと、彼女は「花のせいなんです」と言った。日本には鼻をシュンシュンさせている人がたくさんいる。あまり多いので広告付きのティッシュの包みを通りで配る人がいるほどだ。
今の季節は、杉花粉に加え、お隣の友好国中国より、PM2.5と黄砂のおかげで本当に大変なのだ。ニュースによると、PM2.5は、花粉にくっついて、雨がふるとその花粉が水を含み破裂し、肺に吸い込まれやすいとても細かい粒子になるのだそうだ。
最近は、人を死に至らしめるものがたくさんある。ついこの間、『ホーム』という映画をみた。私たちの惑星、地球のことだ。地球が破滅へと向かっている理由が山ほど挙げられていた。まだ時間があるうちにフルートを吹き、絵を描いておこう。
近所に住む鵜は、今もぴんぴんしているが。写真を一枚。

2013年2月

日本に居ても、テレビで『LAW & ORDER』を見ると、ニューヨークがたくさん出てくる。グリニッジ・ヴィレッジのシーンもたくさんある。NYでは、ワシントン・スクエアから1ブロックの場所に住んでいた。テレビでは、悪臭と騒音抜きで最高のNYを見ることができる。勿論、『法と秩序』を見ると、NYの犯罪を思い出す。私が住んでいたアパートのエレベーターで、強盗にナイフを突きつけられ襲われたことや、1階の住人だったサルツマン婦人が殺害された日のことなど。
アメリカではもうすぐ国民をスパイするドローンが低空飛行するそうだ。これも私はパスだね。
ハンフォード核施設で漏れがあり、コロンビア川を汚染しているそうだ。この施設では、長崎に投下された原爆の材料が製造された。業。

2013年1月

新しい内容が盛りだくさんだが、やはり一番は、大勢のキャラクターが出てくるデジタル絵本最新作『いじめっ子』だ。いじめは、アメリカや世界の他の場所と同様、ここ日本でも大きな問題だ。私たちの作品の中でも、何か答えを見つけようと試みた。
 ニュースでは、ランス・アームストロングを「いじめをする奴」と言っているが、彼のケースを見ると、むしろ興味深いのは、彼のドーピングを「告げ口した側」ではないか?
 私が演奏しているビデオも一つ新しいのを加えた。ギャラリーではもっとアートがご覧いただける。